2025年11月– date –
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映画のこと
開店前の常連と宇宙人が教えてくれた「家族」の正体〜「宇宙人のあいつ」(2023年)より
朝のルーティンに組み込まれた、名前のない絆 毎朝、開店準備をしている午前9時半頃、決まって一人の常連客がやってくる。 70代の男性。元小学校の教師だったという彼は... -
映画のこと
なぜ日本の透明人間は“善人”なのか? – 日米『透明人間』像から透ける、罪と罰の倫理観
もし、誰の目にも見えなくなったら、あなたは何をするだろうか。 この根源的な問いは、古くはプラトンの『国家』に登場する「ギュゲスの指輪」の逸話から、現代に至るま... -
本のこと
日常の中の非日常――カフェが生み出す「特別な一瞬」と芥川龍之介「ひょっとこ」
ひょっとこの面をかぶった男の最期 芥川龍之介の初期作品「ひょっとこ」は、大正時代の浅草を舞台にした短編である。春の花見シーズン、隅田川にかかる吾妻橋の上には、... -
映画のこと
「M」(1931年)が暴く鏡像〜『怪物』の人間性と『正常』の狂気
1931年、ワイマール共和国末期の不安定なドイツ社会に投じられたフリッツ・ラング監督の『M』は、単なるサイコスリラーの始祖に留まらず、現代に至るまで鋭い問いを投げ... -
スポーツのこと
大谷翔平と『緑山高校』二階堂定春――規格外の才能が映す「正しさ」と「反価値」
2025年10月17日(日本時間18日)、大谷翔平がナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第4戦のブルワーズ戦、大谷翔平が見せた圧巻のパフォーマンス——3本のホームランと10奪三振... -
映画のこと
『大名倒産』で読み解く――武士は本当に貧乏だったのか?3万石藩主vs大商人の実収入比較
映画『大名倒産』を観ながら抱いた素朴な疑問がある。「殿様なのに、なぜこんなに貧乏なのか?」という問いだ。主人公の松平小四郎(神木隆之介)が継いだ越後丹生山藩... -
映画のこと
「シェイクスピアは、もう成仏したんですよ」― 記憶に残る一本の台詞
深夜、店を閉めてひとり残った時間に、ふと思い出す映画の台詞がある。それは1997年に公開された『Lie Lie Lie』の中で、豊川悦司演じる詐欺師・相川が、テレビ討論会の... -
ドラマのこと
『クロコーチ』が暴く三億円事件の真実――歴史を動かす「もしかしたら」の力
物語の背景:昭和最大の未解決事件「三億円事件」とは 1968年12月10日、東京都府中市。白バイ隊員に扮した犯人が、わずか3分で現金輸送車ごと約3億円を奪い去った。誰も... -
映画のこと
ペンを握る手が震えるとき――『ガバリン』に見る創造行為と狂気の境界線
作家という職業ほど、孤独と狂気の境界線を踏みしめながら歩く仕事はないのかもしれない。白紙の原稿用紙を前に、ただひとり言葉と格闘する時間。そこには誰も介入でき... -
音楽のこと
『聖者の行進』の絶望と『糸』の希望:中島みゆきが描いた光と影
最近は少し涼しくなり、夜に知り合いのカフェで紅茶を一杯飲んだ後、車の窓を少し開けてドライブをすることが、私にとって良い気分転換となっている。BGMはいつもSpotif...
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