第5戦:昼下がりの決戦、ブルワーズがつかんだ7年ぶりの栄光
2025年10月11日(日本時間12日)、ミルウォーキーのアメリカンファミリーフィールドで行われたナ・リーグ地区シリーズ(NLDS)第5戦は、
ブルワーズが2−1でカブスを破り、シリーズ3勝2敗でナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)進出を決めた。
「勝てば突破、負ければ終わり」という緊迫のデーゲームは、投手陣の集中力と一発攻勢で決着。
7年前、2018年にNLCS第7戦でドジャースに敗れた雪辱のチャンスを、ついに掴んだ。
初回:守護神メギル、異例の先発で流れを断つ
ブルワーズのパット・マーフィー監督は、シリーズで初回に4試合連続得点していたカブス打線に対抗すべく、
クローザーのトレバー・メギルを先発に抜擢する奇策に出た。
メギルはその期待に見事応え、わずか10球で三者凡退。
カブスの「初回先制神話」を止め、試合の流れをミルウォーキー側に引き寄せた。
二回:鈴木誠也の一発で試合が動く
2回表、カブスの4番・鈴木誠也が豪快な一撃を右翼スタンドへ叩き込み、1−1の同点に追いつく。
この一発で球場は一時静まり返ったが、ブルワーズのベンチは崩れなかった。
打たれたのは、今年彗星のように現れた新人右腕ジェイコブ・ミジオロウスキー。
それでも155キロ超の速球を軸に、4イニングを3安打1失点に抑える安定した投球を披露。
序盤での一発に動じず、若き剛腕が見事に立て直した。
中盤:ブルワーズの継投策が冴える
試合の鍵を握ったのは、ブルワーズの見事な継投リレーだった。
四回から登板したミジオロウスキーに続き、チャド・パトリックが六回のピンチで登板。
1死一、二塁から、再び打席に立った鈴木を空振り三振、続くハップを凡退に打ち取り、見事に火消し成功。
七回もパトリックは三者凡退で締め、1回2/3を投げ3奪三振の完璧な救援を見せた。
ブルワーズはこの日、5人の投手でリードを守り抜く理想的なリレーを完成させた。
攻撃陣:3本の本塁打で掴んだ勝利
投手陣の奮闘に応えたのは、ブルワーズ打線だった。
- 初回:ウィリアム・コントレラスが先制ソロ(1−0)
- 四回:アンドリュー・ボーンが勝ち越しソロ(2−1)
- 七回:ブライス・トゥラングがダメ押しソロ(3−1)
いずれもソロ本塁打による得点で、3点すべてが一発によるもの。
まさに「一発勝負」の名にふさわしい試合展開だった。
カブス投手陣も粘り強く投げたが、要所での一球が痛打された。
終盤:ウリーベが締める、守備も集中
ブルワーズは終盤、抑え役としてアブナー・ウリーベを投入。
八、九回を無失点に封じ、チームの勝利を決定づけた。
怪我で離脱中のクローザー・メリルに代わってマウンドを託された右腕が、
見事に期待に応えた形となった。
カブスは鈴木が孤軍奮闘し、2安打1本塁打と気を吐いたが、他の打線が沈黙。
特に中軸のハップ、タッカーらがチャンスで結果を出せなかったことが響いた。
試合後:7年ぶりの再戦、相手は宿敵ドジャース
ブルワーズはこれでシリーズ3勝2敗。
2018年以来となるNLCS進出を決め、13日(日本時間14日)から本拠地でドジャースと激突する。
2018年NLCSでは第7戦までもつれ、当時カブスを率いていた**クレイグ・カウンセル監督(現カブス)**のもとでブルワーズは惜敗。
今回の勝利は、その因縁に区切りをつける一勝でもあった。
次戦展望:ブルワーズは“ドジャースキラー”として挑む
レギュラーシーズンでは、ブルワーズがドジャースに6戦全勝(得点31−16)。
堅実な投手力と守備力、緻密な采配が噛み合い、強打のドジャース打線を封じてきた。
特に次の3点が、今回の対戦でも鍵を握る:
- 継投の完成度
5投手リレーで勝ち切る柔軟さが最大の武器。 - 一発長打の集中力
必要な場面で打てる選手層の厚さ。 - 守備・走塁の確実性
相手のミスを逃さず得点に結びつける“勝負勘”。
結び:昼の光に輝いたブルワーズの再出航
晴れ渡るデーゲームの空の下、
ブルワーズは2018年の悔しさを胸に、再び“秋の航海”へと漕ぎ出した。
2−1という僅差ながら、内容は圧倒的に集中力の勝利。
この継投リレーと本塁打攻勢こそ、2025年ブルワーズ野球の真骨頂だった。
次の舞台、NLCSドジャース戦。
7年前の雪辱を果たす戦いが、再びミルウォーキーの秋を熱くする。
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